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コラム

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すべてが文化財の宿、会津東山温泉「向瀧」を訪れる

「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上(しんしょう)つぶした」小原庄助が朝湯に入ったのが、福島県会津若松市郊外にある「会津東山温泉」です。小原庄助は江戸時代の人物ですが、会津東山温泉はそのころから賑わっていたようです。従って老舗宿も多いのですが、「向瀧(むかいたき)」はその中でも別格です。江戸時代から続く旅館で、現在の建物は明治から昭和初期に建てられ、国の登録有形文化財に指定されています。

前々から一度は泊まってみたい宿の筆頭だったのですが、数年前に1泊して取材撮影させていただく機会に恵まれました。その時に許可を得て撮った写真を中心に、「向瀧」および「会津東山温泉」をご紹介します。

 

 

目次

 

 

 

 

 

 

1.1300年の歴史がある「会津東山温泉」

会津若松の奥座敷といわれる「会津東山温泉」は約1300年前に発見されたといわれています。当時は“東山温泉”と呼ばれていて、江戸時代には会津藩の湯治場として栄えました。

宿は街の中心を流れる湯川沿いに立ち並んでいます。宿名をよく見ると「原瀧」「新瀧」「瀧の湯」「向瀧」など“滝”と付いているところが多くあります。それは、湯川には小さい滝がいくつもあり、宿の近くにある滝の名前が宿名になったといいます。

泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉で、毎分約1500リットルの湧出量を誇ります。自家源泉を持っている宿も多くあります。無色透明で、肌に優しいアルカリ性の優しい温泉です。

 

「会津東山温泉観光協会」

電話番号:0242-27-7051

URL:http://www.aizu-higashiyama.com/

 

 

2.登録有形文化財指定第1号の「向瀧」

 

温泉街の中程に昔ながらの立派な木造建築の宿があります。「向瀧」です。その歴史は古く、江戸時代に会津藩指定保養所“きつね湯”として開設されました。明治時代になりそれを引き継ぎ、温泉宿「向瀧」となったのです。

「向瀧」の建物はほとんどすべてが明治から昭和初期の建てられたもので、今でも客室などで使用されています。その建物の素晴らしさは、長く保存するに値する歴史的文化財として、1996年(平成8年)に国の登録有形文化財の第1号として指定されました。

当時の建設風景写真が「向瀧」のホームページに掲載されていますが、客室は斜面に作られており、大変な作業だったことが分かります。東京から来ていた大工さんもいます。

今回の取材では、泊まった部屋のほかいくつかの部屋を見せていただきました。客室は純和風で、欄間の透かし彫りや障子のデザイン、書院の造りなど部屋ごとにすべて意匠が違い、同じ造りの部屋はありません。大工さんの技術の高さがよく分かります。

 

 
 
2-1.大広間や“きつね湯”がある登録第1号の「玄関棟」

湯川を渡ると玄関です。ここは登録第1号となった大正初年に建てられて木造2階建ての「玄関棟」で、ロビーや調理場のほか、2階に大広間、地下に風呂場があります。この風呂は江戸時代からの温泉浴場“きつね湯”です。

“大広間”は格式の高い天井や総檜の“ひのき舞台”を備えたもので、1992年にはアメリカ、カナダ、EC、日本の通産大臣による国際会議「四極通商サミット」の晩餐会がここで開催されています。

 

 
 
2-2.明治時代に建てられた最も古い「客室棟」

そのまま廊下を進むと、左側に池のある庭園、右側に貸し切りの家族風呂があり、2階は客室です。廊下は回廊になっていて、廊下からは常に庭園が眺められます。先へ進んだところにも客室があり、こちらの客室からは庭が見えません。代わりに湯川と温泉街が眺められます。玄関棟からここまでが明治30年代に建てられた「向瀧」で最も古い「客室棟(登録第3号)」です。

 

 

2-3.東京の大工が建てた「会議室」

 

客室棟の前には“会議室”があります。ここは「向瀧」唯一の洋風な造りになっています。洋風に作るため、慣れている東京の大工さんをわざわざ呼び寄せたそうです。

会議室の上階には客室があります。斜面に沿って造られており、階段が多くなっています。「会議室」ほか客室も含め昭和10年に建築されたもので、「向瀧」の主な建物では最も新しい(?)建物です(登録第4号)。

 

 

2-4.“皇族のお泊まり御殿”だった「はなれ」
 

玄関棟から左へ廊下を進むと階段があり、上に「はなれ」があります。こちらも登録有形文化財で、大正初年に立てられています(登録第2号)。

「はなれ」には部屋が3部屋あり、専用の風呂が付いています。もちろん温泉です。部屋には野口英世の手になる「美酒佳肴(びしゅかこう)」(酒と料理が旨い)の書が架けられています。造りは典型的な書院造りです。大正時代には“宮内庁指定棟、各皇族方のお泊まりの御殿”でした。もちろん「はなれ」は今でも宿泊可能です。

2008年(平成20年)には専用浴室の修復工事を実施しています。

 

 

3.完全かけ流しで、体の芯から温まる温泉

風呂は「きつね湯」「さるの湯」「貸切家族風呂」の3か所あります。

 

 

3-1.ちょっと熱めの江戸時代から続く「きつね湯」
 

「きつね湯」は玄関棟の地下にあり、江戸時代からある源泉を使用したお風呂です。湯川沿いの自然湧出した源泉から直接湯を引いており、泉温は45℃とちょっと熱めです。湯口付近に付着した真っ白な湯の花が、成分の濃い温泉であることを示しています。風呂は男女別になっていますが、シャワーなどはありません。

 

 

3-2.開放的な内湯「さるの湯」
 

男女別の大浴場が「さるの湯」です。露天風呂はありませんが、大きなガラス窓から緑豊かな自然が望める開放的な内湯です。「さるの湯」の湯は、源泉から少し離れているので湯温は42℃と少しぬるめです。男女別で、シャワーや上がり湯が付いています。

 

 

3-3.いつでも無料で利用できる「貸切家族風呂」

「貸切家族風呂」は3カ所あります。“蔦の湯”“鈴の湯”“瓢の湯”と名前が付いていて、天井におのおの違った彫刻が施されています。空いていればいつでも無料で利用できます。

 

 

温泉はすべての湯船に源泉がかけ流されています。また加水や加温もされていないため、源泉そのままの温泉が楽しめます。残念ながら日帰り利用はできません。

 

 

4.建物、温泉以外にも魅力あふれる「向瀧」

料理、庭、温泉街など「向瀧」の魅力はまだまだあります。それを少し紹介しましょう。

 

4-1.会津の食材を中心とした会席料理
 

食事は夕食、朝食とも部屋に運ばれてきます。会津で採れた旬の食材を中心にした、郷土料理中心の会席料理です。こづゆや鯉の甘煮など、会津地方ならではの味わいです。

“こづゆ”とは干しシイタケ、ニンジン、サトイモ、コンニャクなどの具材を細かく切り、干したホタテ(貝柱)の出汁で煮た吸い物です。客人をもてなす料理で、会津塗の椀でいただきます。具材の数は7種類とか9種類など、奇数にしなくてはいけないそうです。

 

 

4-2.斜面をうまく利用した回遊式の日本庭園
 

「向瀧」は湯川添いの斜面に建てられているため、一部の部屋は階段を上るのが結構大変です。しかし、部屋へ行くまでの回廊からは手入れされた庭園が眺められ、心を和ませてくれます。回廊のすぐ下には池、斜面には木々や石などが配置され、四季折々にどこから見ても美しい回遊式日本庭園です。

 

 

4-3.芸妓遊びに射的場。魅力いっぱい、夜の会津東山温泉

「向瀧」の館内には小さな売店があるだけで、バーやカラオケボックス、夜食処、ゲーム機などのエンターテインメント施設はありません。その代わり時たま部屋から三味線の音が聞こえてきます。

「会津東山温泉」では、“東山芸妓”と呼ばれる芸妓さんが多く活躍していました。昨今は宿で芸妓さんを呼ぶことも少なくなり、一時は伝統が途切れる心配もありました。それでは温泉らしさがなくなってしまうと「向瀧」のご当主をはじめとする関係者の努力で、若い芸妓さんを積極的に養成した結果、宿での芸妓遊びが復活しました。

また、寂れてしまった温泉街には射的場などが復活し、昔の賑わいを取り戻しつつあります。

 

「向瀧」

福島県会津若松市東山町湯本川向200

電話番号:0242-27-7501

宿泊料金:宿泊人数や部屋、季節などによって変動します。詳しくはホームページまたは旅行サイトを参照

アクセス:

鉄道/JR磐越西線会津若松駅下車町中周遊バスで東山温泉下車、徒歩2分、またはタクシーで約15分(送迎なし)

車/磐越自動車道会津若松ICから約15分

URL:https://www.mukaitaki.com/

 

 

5.さわやかで温かいもてなしが一番の魅力

登録有形文化財の宿「向瀧」の施設を中心に少し詳しくご紹介しましたが、いかがでしたか。現代的なホテル形式の宿に比べ、エレベーターやエスカレーターがなく、階段だらけで不便です。でも、不便さを忘れさせてくれるほど魅力を感じ取れたのは、手入れゆきとどいた施設の素晴らしさもあるのですが、それ以上にテキパキと働く若いスタッフたちのすがすがしい姿です。人間力が最も大切だと感じました。本当に気落ちよい時間を過ごすことができました。

 

のりじゅん

のりじゅん男性 | 60代

フリーライター。旅行好きがこうじて、40歳を過ぎてから旅行雑誌の編集者になり、全国を走り回っていました。

最終更新日:2020.03.23

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